zLog令和版には、プラグインマネージャ機能が標準装備されました。 有志が開発した便利なプラグインで、zLogを強化できます。
zLogに新しいウィンドウを追加したり、ウェブサービスと連携する機能を追加したり、USBインターフェースと通信する機能を独自に作れます。 もちろん、大多数のユーザーは、プラグインを使う側でしょう。 なので、zLog本体にはない便利な機能をzLogに追加できる仕組みだと思ってください。
まず、プラグインの代表的な例を見てみましょう。
zLogにCTESTWINのLG8ファイルやHAMLOGのHDBファイルなど、zLog本体で対応していないファイルのインポートとエクスポートの機能を追加するプラグインです。 このプラグインをインストールすることで、zLogは、CTESTWIN、HAMLOGと直接データの交換ができます。
zLogの新バージョンがリリースされるたびに通知します。
QSO済みのJCC/JCGコードに対応した市区町村を地図にプロットするプラグインです。 電波の飛び方が可視化されるので、コンテストのモチベーションアップにもつながります。
旭川コンテストや高校コンテストは、zLogのCFGファイルでは完全に対応できないコンテストです。 得点のルールが特殊なため、CFGファイルをいくら工夫しても、正確な得点が計算できません。 そこで、専用のプラグインを用意しました。 それぞれ、対応するプラグインをインストールすることで、正確な得点状況がスコアウィンドウに表示されるだけでなく、JARLサマリーシートにもその得点が反映されます。
日本各地のスポラディックE層の発生状況を表示してくれるプラグインです。 特にVHF帯でのコンテスト運用で有利です。
zLogで入力中の相手局の免許情報を検索できるプラグインです。 何に使うかって? 無線家たるもの法令を遵守するために、ですよ。
モールス符号の聞き取り訓練を、zLogのUIでコンテストさながらにできるというプラグインです。
zLog 2.8以降のx64版で使えます。 x86版では使えません。
プラグインではなくて、zLog本体に機能を追加すれば良いではないか?という疑問はもっともです。 しかし、zLog本体での対応が難しかったり、逆に、対応するのが大袈裟すぎるような機能は、むしろプラグインで対応すべきでしょう。 zLog本体での対応が難しい機能の代表例が、上に挙げたようなコンテストへの個別対応、そして、Es通知プラグインのようなクラウドサービスとの連携です。 また、対応するのが大袈裟すぎるような機能とは、皆さんの自作ハードウェア、例えば、CWキーヤーとの連携です。
zLogで利用可能なプラグインのリストは、こちらのページか、後述するzLog本体のプラグインマネージャから確認できます。 掲載されているプラグインは、いずれもzLogユーザーが自作し、ZyLO開発チームが依頼を受けて登録したプラグインです。
こちらのページには掲載されているのに、zLogのプラグインマネージャに表示されないプラグインがあります。 そのプラグインは「実験的」もしくは「安定版ではない」プラグインでしょう。 後述するプラグインマネージャのウィンドウの中程にShow unstable (experimental) pluginsというチェックボックスがあります。 そのチェックボックスにチェックを入れることで、そのようなプラグインも表示されるようになります。
まず、zLogを起動します。 先に述べたように、v2.8以降の64bit版でしか、プラグインはインストールできません。 起動時に、コンテストを選ぶ必要がありますが、ここでは、単にzLogのメインウィンドウを開きたいだけなので、適当なコンテストで大丈夫です。
zLogのメインウィンドウが開いたら、メニューバーからSettings(設定)メニューを選び、その中にあるPlugin Manager(プラグインマネージャ)メニューをクリックします。
すると、ZyLO Plugin Managerというウィンドウが開きます。 その中に、プラグインのリストがあります。
プラグインマネージャが表示されたら、リスト項目から、好きなプラグインを選びます。 例えば、zLog additional I/Oの項目をクリックしましょう。 すると、プラグインの詳細が表示されます。 また、ウィンドウの一番下に、ボタンが並んでいますが、Installボタンが押せる状態になります。
そのままInstallボタンを押して、zLog additional I/Oプラグインをインストールしてみましょう。 ボタンを押すと、インターネット経由で、プラグインのダウンロードが始まります。 回線次第ですが、小さなプラグインなので、ダウンロードはすぐに終わります。 ダウンロードに時間がかかっていると、進捗バーが表示されることがあります。 ダウンロードが終わると、プラグインが自動的にインストールされます。 インストールが完了すると、Installボタンが押せなくなり、代わりにDisableボタンが押せるようになります。
そうなったら、インストール成功です。 プラグインマネージャのウィンドウを閉じてください。 zLogのFileメニューから、ImportメニューやExportメニューをクリックしましょう。
すると、LG8ファイルやHDBファイルの読み書きができるようになっているはずです。
プラグインをアンインストールするには、先ほどのプラグインマネージャのウィンドウで、アンインストールしたいプラグインを選び、Disableボタンを押すだけで大丈夫です。 ただし、実際にプラグインが無効化されるのは、zLogを一旦終了し、次に起動した時です。 それまでは、プラグインは使える状態です。
インストールしたプラグインも、しばらく経つと、新しいバージョンが利用可能になっているかも知れません。 その場合は、プラグインマネージャのウィンドウで、Upgradeボタンが押せるようになっているはずです。 アップデートしたいプラグインを選んで、Upgradeボタンを押すことで、そのプラグインの最新版がダウンロードされます。 なお、アップデートが適用されるのは、zLogを一旦終了し、次に起動した時です。
プラグインの実体は、DLLファイルです。
デフォルトでは、zlog.exe
と同じフォルダに保存されます。
なので、USBメモリにインストールして、持ち運ぶことも可能です。
ただし、コンテストプラグインの場合は、DLLと一緒にCFGファイルもインストールされるでしょうが、それは、CFGファイルの保存場所に保存されます。
これは、zLog本体のCFGファイルの保存場所の設定に従います。
次に、高校コンテストを例に、コンテストプラグインの使い方を学びましょう。 上にも述べた通り、コンテストプラグインは、CFGファイルでは対応が難しいコンテスト、代表例を挙げると、旭川コンテストや、高校コンテスト、東海マラソンコンテスト、YLコンテストの得点計算を行うためのプラグインです。 使い方は難しくありません。
まず、Settings(設定)メニューからPlugin Manager(プラグインマネージャ)メニューを選び、プラグインマネージャを開きます。
そして、プラグインのリストから、高校コンテストを選んで、Installボタンを押します。
これで、高校コンテストのプラグインがインストールされます。 そうしたら、プラグインマネージャのウィンドウを閉じます。
FileメニューからNew Contestメニューをクリックするか、もしくは、zLogを閉じて、起動し直します。
コンテストを選ぶウィンドウが表示されるので、下にあるUser Defined Contestのボタンをクリックします。
すると、high school contestという名前のCFGファイルがリストに表示されているはずです。
これは、hstest.cfgというCFGファイルです。 このCFGファイルは、高校コンテストのプラグインと同時にインストールされたものです。 このCFGファイルを選び、zLogを起動してください。
もし、リストのhstest.cfgが表示されない場合は、CFGファイル選択ウィンドウの上の参照ボタンから、zlog.exeのあるフォルダを選ぶと表示されます。 それでも見つからない場合は、どこかに保存されてはいるが、散逸してしまったのでしょう。 プラグインをインストールし直せば、今、CFGファイルを参照しているフォルダに再びダウンロードされます。
後は、普通にQSOを入力していくだけです。
スコアウィンドウを表示すると、高校コンテストのルールに沿った得点が表示されます。
また、JARL R2.0サマリーシートを作成すると、得点が正しく記載されるはずです。 試しに作成してみましょう。 Fileメニューから、Contest E-Log (JARL 2.x)メニューをクリックしましょう。
すると、サマリーシートの作成ウィンドウが表示されます。
ウィンドウの下にあるE-log作成ボタンを押して、EMファイルを保存しましょう。 すると、以下のように、正しく得点が計算されています。
<SUMMARYSHEET VERSION=R2.1>
<CONTESTNAME>high school contest</CONTESTNAME>
<CATEGORYCODE></CATEGORYCODE>
<CALLSIGN>JA1ZLO</CALLSIGN>
<OPCALLSIGN></OPCALLSIGN>
<TOTALSCORE>209</TOTALSCORE>
<ADDRESS>??
</ADDRESS>
<NAME></NAME>
<TEL></TEL>
<EMAIL></EMAIL>
<POWER></POWER>
<FDCOEFF>1</FDCOEFF>
<OPPLACE></OPPLACE>
<POWERSUPPLY></POWERSUPPLY>
<COMMENTS></COMMENTS>
<REGCLUBNUMBER></REGCLUBNUMBER>
<DATE>2022?N9??11??</DATE>
<SIGNATURE></SIGNATURE>
</SUMMARYSHEET>
<LOGSHEET TYPE=ZLOG>
DATE(JST) TIME BAND MODE CALLSIGN SENTNo RCVNo
2022-09-11 14:23 7 SSB JO1ZAA 59 10C 59 11HS
2022-09-11 14:23 7 SSB JO1YAA 59 10C 59 11HS
2022-09-11 14:23 7 SSB JS2YAA 59 10C 59 18HS
2022-09-11 14:23 7 SSB JQ1YCK 59 10C 59 11HS
2022-09-11 14:24 7 CW JS2XAA 599 10C 599 18C
2022-09-11 14:24 7 SSB JI1TAA 59 10C 59 11C
2022-09-11 14:24 7 CW JS7XAA 599 10C 599 02C
2022-09-11 14:25 7 CW JP7XAA 599 10C 599 02HS
2022-09-11 14:25 7 CW JQ1YCK 599 10C 599 11HS
2022-09-11 14:25 7 CW JQ1YKM/1 599 10C 599 16HS
</LOGSHEET>
なお、JARLサマリーシートR1.0には対応していません。 つまり、R1.0で保存すると、得点が間違ったものになります。 希望が寄せられれば、R1.0への対応を検討しようと思います。
高校コンテストのプラグインをインストールしたとは言え、結局のところ、hstest.cfgというCFGファイルを選んでコンテストを開いた点では、従来と同じです。 しかし、このCFGファイルには、従来にない、特殊な設定がされています。 以下にCFGファイルの全容を示します。
#high school contest
mycall JA1ZLO
wpm 30
weight 50
tone on
loop 2.5
vloop 10.0
prov 10
zero O
one A
nine N
f1_a CQ HS TEST DE $M $M TEST
f2_a $C $R$VC
f3_a TU $M TEST
f4_a NR?
f5_a $C?
f6_a QRZ?
f7_a $C TU DE $M TEST
f8_a $C QSO B4 TU
f1_b $M
f2_b $R$VC
f3_b GL
f4_b NR?
f5_b QRL?
f6_b QRZ?
f7_b TU
f8_b E E
reverse off
power --H-H-HMM----
pt7 1311
pt21 1311
pt50 1311
pt144 1311
pt430 1311
dat hstest
spc zlog
sub zlog
cut 0
sendnr $VC
JARL on
mode on
counthigh on
unlistedmulti off
exit
dll hstest.dll
最後の2行に注目してください。 まず、exitとは、CFGファイルの解析をその行で終えることを意味する命令です。 これ以降の行は、従来のCFGファイルとしては無視されます。 特に、32bit版のzLogでは完全に無視されます。
exit
そして、続くdll命令は、hstest.dllをコンテストプラグインとして利用することを指示する命令です。 hstest.dllは、高校コンテストのプラグインの本体です。
dll hstest.dll
つまり、この命令によって、高校コンテストに特化した得点計算が有効になるというわけです。 他のコンテストプラグインでも、同様にexit命令とdll命令を利用することで、コンテストプラグインが有効化されています。
zlog.exeを最新版で上書きした場合、zlogの設定(zlog.ini
)が引き継がれるのと同様に、プラグインの設定も引き継がれます。
なので、引き続き使用できます。
もちろん、フォルダごとzLogを入れ替えた場合は、何も引き継がれないので、プラグインをインストールし直す必要があります。